ここではユーザーの皆さんに作品をより深く知っていただくために、
ハーレム☆パーティーの世界観や設定、用語などを
今作品のヒロインたちがドタバタと紹介していくコーナーです。

第一回
第二回
第三回
第四回
第五回


第三回

クレオ
「クレオ・クラガンモアだ! 今日は、余らが行使する魔法の解説をしてやろう。二度とはないぞ、こんな幸運。わかったら席につけ」
ウル
「席につけというのは、わたし達に言っているんですか……」
ニア
「ガウ」
クレオ
「ふんっ! 物を知らない亜人に、余ら魔法使いが扱う魔法の講釈をしてやろうと言うんだ。正座して聞け、ばか」
ウル
「亜人と呼ばないでください! 今日は、わたし達も魔法の解説を依頼をされて来たんですよ」
クレオ
「解説? なんの」
ウル
「無論、わたし達が扱う神聖魔法についてです」
ニア
「ガ〜ウッ、ガウガウ♪」
(足をぶらぶら)
クレオ
「こいつがか」
ウル
「指をささないでください! 姉がいて、不都合はないでしょう。それより早く始めてしまいましょう」
クレオ
「邪魔をしなければなっ。ふむ……では、余からだ」
クレオ
「余ら、魔法使いが行使する魔法は……ん〜と、物理エネルギー? が源だったはずだ。万物が有するエネルギーに作用して、こっちの世界で言う化学反応? みたいなのを起こすんだそうだ」
ウル
「ふっ……いきなりメモを開くようでは、先が思いやられます」
クレオ
「話の腰を折るなっ! 余は超がつく天才だから、感覚で足りる。理屈とかにはあんまり興味がないんだ」
ウル
「はー、へー、それは失礼致しました」
クレオ
「亜人のくせに生意気な……それでなぁ、んと、万物が有するエネルギーは大分すると、よっつの系統に分かれる」
クレオ
「火・風・土・水だ。どれでもだぞ? こちらの世界にあるものもだ。たとえば、ビルとかは土。マッチ棒は火と見せかけて土。木でできてるからな」
ウル
「その程度で、してやったり顔……(ぼそり)」
クレオ
「これは、魔法使いの素養とは関係ない。魔法への耐性とか性格に表れる、それぞれの資質だ。『火』の系統に属してる人間は、直情的で喧嘩っ早いとか、『水』に属してる人間は思慮深いとか」
ウル
「こちらの世界で言う、血液型のようなものでしょうか」
クレオ
「そんなようなもんだ。で……特別に万物が有するエネルギーを感知する才能に恵まれているのが、魔法使い」
クレオ
「ただ、生来の素質には誰であっても抗えない。大抵の場合、魔法使いが感知できるのは、自分と同系のエネルギーだけ。基本的には、自分が属する系統の魔法しか能力を伸ばせないのだ」
クレオ
「他の系統の魔法も、才能があればある程度は習得できるが……限度がある。人間、才能以上のことはできないってわけだ」
ウル
「あら? 待ってください、クレオさまは雷の魔法を得意としていらっしゃいましたよね。四大系統というお話から、少々、ズレてはきませんか」
クレオ
「雷は『風』の系統だ」
ウル
「なるほど。その割に、クレオさまは風の魔法をあまり使われませんね」
クレオ
「それはしょうがない、天才だからなっ!」
ウル
「……なんですか、それは」
クレオ
「稀にそういう、特殊な才能を持ったヤツがいるんだ。『土』の属性である『森』の系統に特化した才能をもったヤツとかな。そういうのは、シャーマンになってお呪いとか雨乞いとかを生業にしてたりする」
ウル
「シャーマン……あぁ、森の隅の方で生活してる方々ですね。あの迷惑な(ぼそり)」
クレオ
「ちなみに『雷』の素養は、クラガンモア一族ゆかりの者にしか発現しない! つまりあれだな、余は凡人が羨めど得ることのできないスーパーな才能を生まれ持った存在というわけだ。尊敬しろ」
ウル
「……尊敬?」
クレオ
「グラン!」
どごごごごごご
ウル
「はぎゃっ!?」
クレオ
「エン!」
しゅごー
ウル
「あつつつつつっ、熱っ!?」
クレオ
「スーイ!」
ウル
「ひゃゃゃゃゃゃゃゃ!?」
クレオ
「アウラ!」
びゅーん
ウル
「あ〜〜れぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
クレオ
「以上が、土、火。水、風、四大系統の初級魔法だ。全てを使いこなす天才なんて、アードベック皇国広しと言えど、余とお母様くらいのものだな。ふふんっ」
ウル
「ぜーっ、ぜー……殺す気ですか」
クレオ
「ちゃんと防壁を張っただろ? 守るだ治すだは、お前の得意分野だ。ほら、席を替わってやるから次はお前が話せ」
ウル
「体よく誤魔化された気もします……あ〜ぁ、前髪が焦げちゃった」
ニア
「くー……くーー」
ウル
「これだけの爆音の中で、よくも熟睡できたものね……こら、ニア!」
ニア
「ガウっ!?」
ウル
「今度はわたし達の番よ。こほん! さて、わたし達、森の民が行使する魔法は……厳密に言えば、私達の力は、破壊の役にしか立たないような、魔法使いの物騒な能力とは似ても似つかないんですが」
クレオ
「おい」
ウル
「(無視)わたし達の……ふぅ、あえて人間が呼ぶ通り『神聖魔法』と定義しましょうか」
ニア
「ガウ、しんせいまほうはかみさまのちからをかりる」
ウル
「そうね、わたし達森の民は一人一人が敬虔な神の信徒。それぞれの氏族(クラン)がそれぞれの神を戴き、神の教えを胸に生きます」
クレオ
「そういう話は、好みじゃない〜……身体が痒くなる」
ウル
「主成分が邪心の方は言うことが違いますね」
クレオ
「お前に言われたくないわっ、この腹黒亜人!」
ウル
「失礼な! あ、あら失礼……わたし達、グレイグースの氏族はですね。森の現在・過去・未来を見守る、時の女神イルムスさまと、その従属神様にお仕えしております」
ニア
「イルムスさまは、ときのめがみだ。げんざいとかこと、みらいをいっしょにみてる」
ウル
「わたしが言ったけどね……まぁいいわ。その通りよ、ニア」
ニア
「ほめられた!」
ウル
「自慢をするわけではありませんが、わたし達、シュリヒテはグレイグースの一族を除けば唯一、その御名を唱え、そのお力をお借りすることを許された一族でもあります。えへん、なんて名誉なことでしょう」
ウル
「あぁ、こうして目を閉じればイルムス様の貴きお声が……」
クレオ
「お前の母ちゃんでべそー……ついでに、ソフィもでーべーそー」
ウル
「殺しますよ!」
クレオ
「直接的!? お前達、森の民は争いを好まないんだろ、徹底しろばかー」
ウル
「わたし達、全ての森の民の母は時の女神イルムス様! わたし個人への侮辱なら耐えもしましょう……しかし、氏族への、神への侮辱だけ許せません」
ニア
「ガウ……ニア、あんまりクレオをぶっころしたくない。でも、イルムスさまとソフィをばかにされたら、しょうがなくなる」
クレオ
「腕まくりをするな!? 誰もばかになんてしてないだろ、誤解するなっ」
ニア
「ならよかった。あんしんしろ、ウル。かんちがいだ」
クレオ
「……ほっ、つくづく閉塞的な連中だ(ぼそり)」
ウル
「何か?」
クレオ
「ち、ちょっと疑問に思っただけだ。余ら、人間の魔法使いは大体、遺伝で魔力が備わる。万物が有する物理エネルギー……つまり、マナを感知する力だ」
ウル
「はぁ」
クレオ
「で、才能を持ってる子は、魔術師連の施設に幼いうちから引き取られて教育を受けるんだけどな?」
ウル
「それが何か?」
クレオ
「お前達、亜……けふん、森の民の中で魔法使いと呼ばれる者は、どういう才能を持っていて、どういう磨き方をするのかって話だ。皆も多分、興味を持ってる」
ウル
「??? ご質問の意味が、よく……」
クレオ
「散々、噛み砕いて質問した!」
ウル
「ですから、便宜上「魔法」と呼んでいるだけで、わたし達の力はあなた方の魔法とは性質が異なります。わたし達が行使する奇跡は、全て神の御力」
ウル
「神の祝福を得た者は、生まれながらに神のお声を間近に聞き、その御力をお借りする方法を知っています。呼吸のしかたを誰かに教わりますか? それくらい、わたし達にとって神は身近なものなのです」
クレオ
「……わかったような、わからんような。要するにお前らも遺伝なんだろ?」
ウル
「そうなりますか。イルムス様のお声を賜れるのは、グレイグースの一族を除けばシュリヒテのみ。それがわたし達の誇りでもあります」
クレオ
「じゃあ、こいつは」
ニア
「ガウ?」
ウル
「………姉は、その〜」
ニア
「ガウ、ニアはしょうがない。ニアとウルははんぶんこだ」
クレオ
「半分こ?」
ニア
「ニアはちからがつよいけど、かみさまのこえがきこえない。ウルはきこえるけど、へなちょこだ」
ウル
「へなちょこはあんまりよ! た、ただ……はい、そういうことです。グレイグースの長様が代替わりするたびに生まれ出で、お仕えするシュリヒテの一族は代々、一人のはずなのですが」
ニア
「ウルとニアは、ふたりでうまれてきた」
ウル
「本来、シュリヒテの守人が有する資質を半分に分けて……それがどのようなご意志によるものか、それは女神・イルムスさまのみがご存知です」
クレオ
「ふぅむ、なんか複雑な事情があったんだな。お前ら」
ニア
「たぶん、ソフィがさびしがりやだから、ふたりのほうがいいとかみさまがおもった」
ウル
「ふふ、そうかもしれないわね♪ これからも、ふたりでひとりのわたし達で、ソフィさまをお支えしていきましょう」
クレオ
「なんとなくまとまったな。ま、そんなわけだ! これで少しは余らが使う魔法の仕組みはわかっただろ」
ウル
「次回はアニエスさまとわたし達の主、ソフィスティアさまが、本作「ハーレム☆パーティ」のあらすじをお届けします」
ニア
「ちょっと、いまさらのかんもある」
クレオ
「諸々の予備知識を与えてからの方が、やりやすいということだろう。あー、まぁなんだ。そんな感じで、以上!」
ウル
「またお会いしましょう♪」
ニア
「ガウっ、またなー」

第三回、了